OZONE ラッシュ インプレッション     (Reported by Masakazu Saito)

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性能重視のDHV1−2

2005年オゾンからはDHV1−2モデルがなんと3機種も発売された。今回取り上げるグライダーは、その中でも性能重視、スポーツ性に特化したRUSH(ラッシュ)である。最近、DHV1−2クラスで取りざたされているのは、DHV1に近いものとDHV2に近いものとではかなり開きがあるということだった。オゾンとしての回答は、まさに今回発売される機種にあるといえるだろう。

ラッシュのコンセプト

ラッシュのコンセプトは、非常にわかりやすい。DHV1-2の安全性を確保しつつ、スポーツ性、最高性能を求めたモデルであることをうたっている。その結果1−2クラスでありながら、P証以上に対象を限定しているのも特徴だ。いままでその上のクラスに乗っていた方やDHV1−2クラスでF−1クラスの大会に出ようと思っている方には、非常に興味深い機種であるだろう。明確なコンセプトでターゲットを絞り込むことで、よりユーザーに対して的確な商品を提供できるというのがオゾンの考えであるといえる。

近年のオゾンのデザインは、常に向上心溢れ豊富な知識を持つダヴ・ダゴーとロブ・ウィットールが担当している。彼らは、パラのデザインのみならず競技や冒険フライトにおいても多くの経験を持つパイロットとしても有名である。また、二人に加えてテストパイロットとして生粋のアクロパイロットであるジェローム・カノーとトップアクロパイロットでイントラのラッセル・オグデンがいる。彼ら4人によって、性能、グライダーの限界時の挙動のチェックははもちろん、通常フライトによる扱いやすさ、心地よさ、フォルムの美しさ、仕上がりのきれいさなど多項目にわたって徹底的にチェックされるのだ。

 同時に発売されたBUZZ(バズ)とのスペックの違いは、アスペクトが少し高くなりセル数が多くなったことと体重レンジが異なることだ。ただ、DHV1−2の安全性を確保するためにそれほどのハイアスペクトではない。

グライダーを広げて、細部をチェックしていこう。

キャノピー、ラインの素材は、12Gまでの負荷に耐えたDHV1のモジョと同様のものを使用しているので耐久性に関してはお墨付きだ。ボトムA,Bラインはエーデルリッド製の1本の耐加重200kgのライン、そしてCラインには耐加重340kg!の極太のテクノーララインを使用している。そして、アッパーラインにはダイニーマビーテックDSL140とDSL70という細めのラインを使用している。

キャノピー上面は、オゾンがキャノピー生地として最高品質だと考えているゲルベノール。対磨耗性、紫外線劣化、引っ張り強度等に優れるシリコンコーティングされた生地だ。水にも強く、朝露などで地面が湿っていても水をよくはじくため汚れもつきにくい。下面とリブには軽量のポルシュマリンを採用。T/E翼端には、他のモデルと同様キャノピー内のゴミだし用にベルクロがあり、簡単に掃除が出来る。

もちろん縫製についてはオゾン品質で、どのほかのメーカーと比べても劣ることはないだろう。

安心感のあるフォルム

 カラーリングは、ジオはバズと共通の3色の組み合わせで、今までのオゾンとは一味違う新鮮なものだ。今回、フライトするグライダーは、赤に黒と黄色のラインの組み合わせでラッシュがとても力強く見える。インテークの大きさは、このクラスとしてはかなり小さめで戦闘的だ。ただ、コードの幅はそれなりにあるので、安心感がある。

ライザーは、A,B,Cに翼端折り付をプラスした4本タイプでシンプルなものだ。

 ライズアップ

ライズアップはバズに比べると30度くらいまでは少し重い気がするが、特に難しい感じではない。左右に傾きにくく一体感があるので細かい修正は必要ない。DHV2のヴァルカンは、翼がやや先行する傾向にあるがラッシュのほうがやはりマイルドに仕上げられている。かぶってくるタイプではないので、頭上に上がるまでフロントライザーを保持するほうが良い。

スポーツ性と安全性の融合

Mサイズの飛行重量85−105kgにバラスト12kgを使用して90kg。軽めでのフライトとなった。巡航は約36〜37km/hだった。飛行重量の真ん中で乗ればあと1〜2km/hプラスされるだろう。

乗り始めてすぐの印象は、意外とどっしりしているなーということだった。過激なセッティングだとばかり思っていたがそうでもない。これは、ヨーの動きが思ったほどでないのと、ピッチの動きがゆっくりだからだ。もちろん、私がMサイズに軽めで乗っているのでそう感じるのかもしれない。

ブレークは引き始めからあるそこそこ重く手ごたえを持たせている。そこから下のほうまで段階的に重くなり自然なフィーリングだ。これは、バズも同様で以前のヴァイブからかなり改良されている。ブレークを引いた直後のロールの入りは比較的ゆっくりでバンクのコントロールはやさしい。ただ大げさに強くブレークを引き込むと一転してノーズがキュっと切れ込むようにして入っていくがあわてるほどの急激な突込みではない。一気に引き込んだ場合でも、穏やかに引いた手をもどせば外翼のコントロールをせずとも翼は不安定になり難くDHV1−2の安全性を感じることができた。

旋回中、まったく外翼をコントロールしないとたまに翼端折りをしたとき程度の潰れが起きることがあったが、無視して内側を引き続けていると何事もなかったようにきれいな旋回をすることができた。このあたりは、DHV1−2ならではの芸当だろう。

ストール付近の挙動をみるために両方のブレークコードを徐々に引き込んでみた。失速までのストロークは結構長い。好ましいのは失速に入った瞬間ゆっくりと翼が下がっていく感じで危険度が少ないことだ。怖いタイプというのは、ストール直後の動きが早く、一気に翼全体が落ちるように後ろにいくヤツで、失速に入ってしまった場合でも対処がやや難しくなる。

アクセルは、ダブルプーリーの為軽い。プーリー間の距離は約15cmやや長め。

アクセルは実用性を考えたアクセルでしっかり使えるアクセルだ。アクセル使用中も、ピッチが安定しており不安が少ない。

スパイラルは、引きはじめをゆっくりと行えば加速度的にGが増していく感じは無い。コントロールはし易い。ただ、導入のきっかけを一気に行うと思ったよりも入っていく感じがあるので注意が必要だ。

翼端折りは翼端折ライザー上部を持って下に引き込めば簡単に行うことができる。ただ、それだけだと十分な沈下は得られないので、その後その上のラインを持ってさらに引き込んだほうがよさそうだ。回復に関しては、パラパラとゆっくりと自然回復することがほとんどだが、時々ひっかるような感じでポンピングしないと回復しない場合もあった。

Bストールは、引き始めは多少重さはあるもののキャノピーは前後にぶれることなく安定しており効果手段として有効に使いことができる。本来パッとライザーを離すべきものをわざとゆっくり戻しても3秒ほどで通常滑空に入った。

普通に飛んでいるときは、まず大きな潰れがおきるような不安定さは感じられなかったが片翼潰しも行った。90度から120度くらいの間に穏やかに回復。まったく問題なしだった。

   ラッシュの総合評価

世界的にDHV1−2が主流になりつつあるが、その中でも性能を求めたい、アクティブにフライトしたいといったパイロットにぴったりのグライダーだ。短い時間のフライトだったので、正確にはわからないがかなりの性能があるように感じた。翼がしっかりと空気を切るように滑る様子は、カテゴリーを越えており、少し前のDHV2のグライダーよりも性能は上ではないか?とも思えるぐらいだ。

パイロットのエラーに対しても寛大でそれほどシビアな状況にはなりにくい翼だと思えた。リスクを負わずに楽しめて高性能が楽しめてしまうラッシュの登場は技術の進歩を改めて感じずにはいられないと思った。


     

 

  カラーパターン

 

翼端折りライザー、Wアクセルフットバー装備

上面:ゲルベノール製ナイロン66 LCN066 下面:ポルシェ製ナイロン66 スカイテックス9017E38A

リブ:ポルシェ製ナイロン66 スカイテックス9017&9092

サスペンションライン:エーデルリッド200kg(ボトム)DSL140kg (ミドル) DSL70kg (アッパー)

 

 

製造者:OZONE GLIDERS LTD.

    5 Espace Guin tran, 06620 Bar sur Loup,FRANCE

         TEL: ++33(0)493 429 600

         Email: team@ozone-gliders.com

         URL: www.ozone-gliders.com